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第12回生産宣言者インタビュー(天の製茶園)

天の製茶園 代表/水俣市認定環境マイスター 天野 浩さん

祖父から引き継いだ「手仕事」・「地素材」のお茶作り

天野さんの写真  水俣市内からさらに奥地に入った、鹿児島との県境にある標高600メートルの高原で、無農薬・無化学肥料にこだわってお茶を栽培している「天の製茶園」。昭和23年に開拓団で入植した浩さんの祖父たちが、戦争で荒れた畑を再生させるためにお茶の栽培を始めたそうです。天野さんが代々その土地で大切に作り続けている種から育てた在来種は、樹勢が強く無農薬栽培でもしっかりと育ち、中には、樹齢が90年ほどになるものもあるそうです。3代目となる浩さんは、約25年前から緑茶やほうじ茶、ウーロン茶の他に、紅茶作りに力を注がれていて、水俣市環境マイスターにも認定されています。

全国的にも珍しい無農薬栽培の紅茶を各地で展開
天の製茶園さんへのインタビュー動画のサムネイル

  最初は失敗続きだったという紅茶の栽培は、試行錯誤を繰り返しながら天の製茶園独自の茶葉に仕上げていったそうです。「美味しい緑茶を作るためには肥料をたっぷり使い、旨みとともに綺麗な緑色を出しますが、紅茶の場合はその逆です。薄く痩せた葉っぱの方が発酵も進み、香り高く色みの濃い紅茶になります。」主力商品となる「天の紅茶」は、ほんのりとした甘みと深みのある味わいが人気で、全国各地の自然食レストランや百貨店などで販売されています。また、その味と品質の高さが認められ、高級和菓子メーカー「とらや」で販売されている「紅茶羊羹」の原料にも使われています。水俣市では、週末だけ営業している直営カフェ「天の製茶園 和紅茶工房 Tea Room」で、天の製茶園で採れた美味しいお茶と、お茶を使ったお菓子が味わえます。

余分なものを入れない、自然と手をつなぐ“モノづくり”

天の製茶園の商品の写真  なるべく自然の状態のまま、手仕事で育てるという想いはお茶畑に生える雑草にもみられます。昔からその土地に生えている地元の雑草が元気になるように、生態系を意識した栽培を心がけているとのこと。除草剤を使わず、不要なものだけを人の手で取り除いているそうです。元々、環境に配慮した“モノづくり”を心がけていた浩さん。水俣という場所で取り組むことも常に意識されていたようです。「口に入れるものを水俣で作るからには、体に負担がかからないようにしたいという思いはありました。食べることで、より元気になれるような栽培方法を考え、安全で安心な“モノづくり”を心がけています。」
  そんな中、くまもとグリーン農業の取り組みを知り、同じ方向性であることに共感を覚えたそうです。「今後は、今まで自分たちが行ってきたことと同じように、くまもとグリーン農業にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。」また、栽培はもちろん、加工から販売まで一貫して自分たちの手で行っている天の製茶園では、商品を手に取った方へ自分たちの想いを届けられるように、お茶を入れる袋やパッケージ作り、発送もすべて手仕事で行っているそうです。

農業を通して世界に水俣の魅力を発信

天の製茶園の写真  浩さんは、水俣の農業後継者がなかなか増えない現状にも頭を悩ませていました。「色々な地域の方に水俣に来てもらって、現状を知ってもらって、水俣の魅力を伝えながら一緒に同じ取り組みができる人も増やしていきたいですね。それを見ながら同じ水俣の生産者たちが刺激し合って、外部にも発信をしていきたいです。」天の製茶園では、外国からの農業研究生の受け入れも積極的に行っています。ここ2年間で15か国120人の方が参加され、約1カ月かけて農業を一から学んでいます。浩さんは「100年、200年続けられるような農業や“モノづくり”をたくさんの人たちとできるようになれば良いと思っています。」とおっしゃっていました。地素材を大切にしながら一つひとつの仕事を丁寧に行う“モノづくり”の世界が、さらに広がっていきそうです。

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