第3回応援宣言者インタビュー(株式会社福田農場ワイナリー)
「株式会社福田農場ワイナリー」代表取締役社長 福田豊樹さん
水俣の特産を通じてくまもとの魅力を伝えたい
水俣市湯の児にある「福田農場」は、特産の甘夏みかん畑や不知火海を一望できる丘の上の農場です。1960年、福田社長の祖父母がこの高台からの景色に惚れこみ、コツコツと山林を開墾して観光農園を立ち上げたのが始まりです。観光農園を通じて、たくさんの方に遊びに来てもらいたいという祖父母の想いを受け継いだ、父親の先代社長。レストランをはじめ、甘夏みかんやデコポンを加工する工場と、それらを試食できる直売所を設けました。さらに、甘夏みかんをバレンシアオレンジに、不知火海を地中海に見立て、場内の洋館を地中海風にすることで、いつでもスペインにいるような雰囲気を味わえるようになりました。福田農場は今年度、くまもとグリーン農業の応援宣言をされています。
環境に配慮した建物と農産物の加工
水俣市は、過去に水俣病という公害があった土地でもあり、町をあげて「環境の町」としての取り組みを行っています。そんな町づくりの想いを伝えるため、福田農場では建物のいたるところに、廃線になったローカル線の枕木や電柱、紡績工場で使っていたミシンなど、リユース・リサイクルの材料をふんだんに使っています。
さらに、甘夏みかんをはじめとする柑橘類を加工して、付加価値をつけています。「果肉は絞ってジュースに、皮はマーマレードに、絞った果肉をペーストにしてドレッシングにと様々な加工をしています。さらに、皮に香りの成分となる精油が詰まっているので、抽出して香料のメーカーに出荷したり、種から精油を取り出して化粧品の素材にしたりと、実・皮・種を全て無駄なく使っています。」こうした取り組みを通して、農場全体で環境に配慮しているのです。
くまもとグリーン農業でできた農産物を使った商品を全国へ発信
福田農場で作られる加工物のうち、特に皮を使うものについては、原料となる農産物にもこだわっています。自社農場で農薬を使わずに栽培したものをはじめ、近隣農家が農薬の制限をして栽培した農産物を原料にするそうです。その中で、くまもとグリーン農業に取り組まれている農家さんと契約して、原料を分けてもらうこともあるそうです。「特にサラダ玉ねぎはエコファーマーの生産者の方が多く、青果で出せない規格外のものを仕入れてドレッシングにしています。農場でも大変人気のある商品ですよ。」こうした地元の農産物を使って作られた商品や青果そのものを、日々、全国に届けています。
これからの取り組みについて
自然のままの農産物で作るのは、加工物だけでありません。場内にある2軒のレストランでも、そういった農産物を使った料理が楽しめます。福田社長は、くまもとグリーン農業に取り組む農家さんが作った農産物を、今よりもっと使っていきたいという思いを「今はまだ数が少ないですが、レストランでの提供はもちろん、農産加工品についても、よりくまもとグリーン農業に目を向けた商品化を進めていきたいですね。そしてその商品を“くまもとの魅力”として全国に発信していけたらと思います。」と語っていらっしゃいました。水俣からも、くまもとグリーン農業の輪がどんどん広がっていきそうです。