第3回生産宣言者インタビュー(やつしろ菜の花ファーム987)
熊本県立大学環境共生学部環境資源学科の学生による「生産宣言者インタビュー」の記事です。
学生の皆さんが、くまもとグリーン農業に取り組まれている生産者を訪問し、インタビューのうえ記事と動画を作成しています。
生産者名/岡 初義(おか はつよし)さん 宣言番号/3-00095
九州新幹線の沿線に広がる菜の花畑。取材に訪れた時、菜の花は満開を迎えていました。
八代市鏡町の遊休地で菜の花を栽培することで循環・環境農業を実践しているのが、農業グループ・やつしろ菜の花ファーム987です。今回は、その代表である岡 初義(おか はつよし)さんに、満開の菜の花畑を横目に眺めながら、お話をお聞きしました。
菜の花、お米、そしてイグサ
やつしろ菜の花ファーム987では、菜の花と水田、イグサを交互に栽培されています。栽培された菜の花からは蜂蜜や菜種油を、菜の花の後に植えられた水田からは、菜の花米を収穫するだけでなく、菜の花米を原料とした純米酒や玄米黒酢、野菜農家と協力してトマトビネガーを作るなど、菜の花につながる農産物を「菜の花畑の贈り物」として生産されています。
菜の花には、美しい景観を作るだけでなく、さまざまなメリットがあります。まず、菜種を収穫したあと、茎や葉を畑に鋤き込むことで豊かな土を作ることができます。菜種の搾りかすからも自家製のぼかし肥料を作り、水田やイグサへと循環させています。菜の花を鋤き込んだ水田は、不思議なことに草が生えないのだそうです。岡さんによると、「15年間除草剤を使っていません。」なのだそうです。そこで、つねづね「どうやったら農薬、化学肥料を使わないで済むか」を考えていた岡さん達は、環境にやさしくて、おいしいお米が育つ、菜の花米の栽培をスタートされたそうです。
環境保全型農業コンクールで最優秀賞受賞!
環境にやさしい農業だけでなく、学生や子どもたち、一般の人々も参加できる「菜の花ウォークラリー」や「菜の花オーナー制度」などのイベント開催にも積極的に取り組んでいるやつしろ菜の花ファーム987。菜の花に多くの人が関わることで、「おいしい農作物がとれて、ドジョウやゲンゴロウなどがいたりする昔の田んぼや田舎の風景がよみがえり、子供も大人も笑顔ではしゃいでいる風景が見られる。これが私の楽しみですね」と岡さんは、にこやかに話されていました。
これらの「現場を見て、体験してもらうことで、農業や環境、循環について考えてほしい。」という活動が評価され、やつしろ菜の花ファーム987は、2013年度の環境保全型農業推進コンクールで最優秀賞を受賞されました。
農業環境モデル都市 八代・熊本へ
岡さんの夢はまだまだ広がります。そのひとつが、「荒尾から水俣まで、九州新幹線から菜の花畑を見ることができるようにすること。その菜の花畑につながって作られる農産物や加工品を熊本のオリジナルブランドにすること。」だそうです。
さらに、菜種油をバイオ燃料に使うアイデアもあり、環境にやさしい農業の取り組みと連携することで、「農業環境モデル都市 八代・熊本」へとつなげていきたい」と、将来展望を語る岡さんは、とてもいきいきとされていました。
『やつしろ菜の花ファーム987』
九州新幹線の線路沿いで菜の花を栽培し、その菜の花を中心とした環境にやさしい循環型農業に取り組んでいる。菜の花から蜂蜜や菜種油を採集するだけでなく、菜の花米の栽培、菜の花米を原料とした純米酒や玄米黒酢の製造などを手掛ける農業グループである。また、毎年春分の日に開催される菜の花ウォークラリーなどのイベントにも力を入れている。
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